UK HARDCOREアーティスト紹介: Darwin編
UKハードコアアーティスト紹介、第7回はDarwinです。
Darwinはレコード時代から活躍するDJ・トラックメイカーです。ハッピーハードコア、オールドスクールの要素を汲んだ王道的なスタイルのUKハードコアを中心に手がけおり、現在でもトレンドに合わせつつ昔ながらのUKハードコアらしいグルーブの楽曲を発表し続けています。
2009年には同じくハードコアを手がけているFracusをユニットを組み、現在に至るまでDJアクト、楽曲のリリースを積極的に行なっています。また二人の創設したHardcore Undergroundからは多くのアーティストのアルバム、コンピレーションがリリース、販売されています。*1二人のこれまでのアルバムもここからリリースされています。
またドラムンベースも多く手がけており、大手リキッドファンクレーベルのLiquicityからも楽曲をいくつか発表しています。ハードコア系の楽曲でもドラムンベース、ジャングルなどの要素を多く取り入れています。
またDarwinは日本との関わりも強いアーティストでもあります。BEMANIシリーズやCROSS×BEATSなどの音楽ゲームシリーズの楽曲提供で彼の名前を知った方も多いのではないでしょうか。
音楽ゲームだけでなく、日本のハードコア系レーベルであるHolTunesのコンピレーションアルバムへの参加やDJ Shimamura氏やM-Project氏の楽曲のリミックスなども行なっていました。
オススメ楽曲
Free From Form
Fracusとのトラックの一つであり、アルバム"Point Of No Return"に収録されています。ドラムンベース風のイントロから展開して行く、優しいサウンドが印象的な楽曲です。
Like Fire
Darwinと同じく昔ながらのスタイルのハードコアを多く手がける3Starとのトラックです。ドンクベースが印象的なバウンス感の強いレイヴトラックになっています。
Join Us Now
ハードスタイル系のサウンドを全面的にフィーチャーした楽曲になっています。ハードスタイル系のUKハードコアは多くリリースされていますが、昔のガバっぽいスクリーチのフレーズやピアノのサウンドにFracus & Darwinらしさを感じさせます。メロディのエモーショナルさや飛び跳ねたくなるグルーブ感が最高な一曲です。
各種リンクまとめ
Soundcloud
Dawin名義
Fracus & Darwin名義
Spotify
Darwin名義
Fracus & Darwin名義
UK HARDCOREアーティスト紹介: Rob IYF編
UK HARDCOREアーティスト紹介、第6回目はRob IYFです。
Rob IYFはAl Stormのレーベルである24/7 Hardcoreを中心に活動するアーティストです。ハードスタイル的な音使いを主としながら、音数がシンプルかつ独特なサウンドのハードコアを多く手がけています。
また最近ではAl StormとのユニットであるThe Watchmenの活動も行なっています。
去年の半ばまでは自身が創設に関わったレーベルであるJustice Hardcoreからも積極的にリリースしていたのですが、下半期からは全くリリースしなくなったためレーベルを脱退したと思われます。またJustice Hardcoreでの活動時はNobodyとの共作も多く手がけており、ユニットとしてアルバムもリリースしていました
オススメ楽曲
I Wanna Stay
日本でも人気のS3RLとのコラボトラックです。S3RLらしいメロディ、コード進行がIYFによる最近のハードスタイル系のサウンドで奏でられます。最初のサビの後に展開されるローリングベースのドロップは一曲の展開としてもDJユースとしてもどちらの面でも最高！
I Created Monster (IYF & Nobody Remix)
Al Stromの原曲のNobodyとのリミックスです。原曲は12分の連符が主体のトラックでしたが、こちらは疾走感マシマシの王道的な四つ打ちのハードコアになっています。
Ready For War
Scarred Digitalからリリースされた楽曲です。ハードスタイル風味ながらパワーストンプを彷彿とさせるキックが特徴的です。音数のシンプルさからも最近のElectric Foxなどからリリースされるハードスタイル風のハードコアとはまた違った印象を受ける楽曲です。
2019年12月のお気に入りUK HARDCORE
明けましておめでとうございます。前年度12月のUKハードコアのリリースで気に入ったものを取り上げていきます。また今月からUKハードコア以外の好きなリリースも取り上げる予定ですがそれはまた別の記事で。あと今回はフリートラックの紹介が多いです。
Sacrifice (Ben Defekt & Olly P Remix)
One SeventyからリリースされたDefektと久々の登場なOlly PによるHixxy原曲のリミックスです。哀愁感のある原曲から打って変わって爽やかで解放感のある曲調になっています。
ochamekinou (hallycore flip) FREE
日本のトラックメーカー、hallycoreさんによるおちゃめ機能のリミックスです。ジューク的な展開も含んだ、アーメンの効いたジャングルになっています。
Bohemian Rhapsody (Stu Infinity Edit) FREE
QUEENの名曲、Bohemian RhapsodyのStu Infinityによるリミックスです。原曲のボーカルを活かしたエモーショナルなブレイクが印象的です。
Atlantis FREE
ドイツのトラックメーカー、Aethralによる楽曲です。最近のJ-CORE的なリードシンセと数年前のダブコア的な展開がマッチしています。
Everyhour (feat. Sunday Service Choir) [Relect Flip] FREE
Kanye Westの楽曲のRelectさんによるリミックスです。個人的にウワモノが綺麗なハードコアが好きなのでこのリミックスもかなりツボです。DJで使う際はドラムンベースから綺麗に繋ぎやすく、そういった点も便利です。
Bass Keeps Pumping
Kutskiのレーベル、KEEPING THE RAVE ALIVEからリリースされた楽曲です。昔ながらのハードダンス風味で最近のサウンドながらバウンス感があって良きです。BPM165ながら疾走感があるのもナイスです。
【音ゲーからハードコア】Onigo編
音ゲーからハードコアの門を叩いてみようなコーナー、第2回はOnigoについて紹介していきます。
OnigoはSOUNDVOLTEX BOOTHに収録されたHommarjuさんの楽曲です。ハードダンスチックなリズムトラックに乗せて繰り出されるストイックなスタイルの楽曲になっています。所謂、この曲はUKハードコアの中でも変態系(この言葉もあまり使わなくなった？)と呼ばれるものに分類されるタイプのサウンドだと個人的には思うのですが、音ゲーでこういう曲が遊べるのは今になって考えるとかなり衝撃的です。
また2019年冬のコミックマーケットにて頒布されたHommarjuさんの2ndフルアルバムの「天才失格」にて当楽曲が長くなって収録されています。*1OnigoのロングもDJユースなスタイルで非常にカッコいい&他の楽曲もカッコいいものばかりなので是非お買い求めください。
楽曲自体以外では、2月5日の「Onigoの日」でのムーブメントも有名ですね。過去の高難易度譜面が引用された譜面も主に上級プレーヤーへの足がかかりとして愛されています。
Hommarjuさんの同系統の楽曲
Kill The Deadline
ドロップの鋭いシンセが特徴的なハードコアトラックです。随所に挟まれるスタブやブレイクビーツなどのオールドスクールを感じる音も堪らないですね。Akira Complexとの共作アルバムの「WE ARE CONNCTED」に収録されています。
The Haunted!
S2TB Recordingsのハードコア系コンピレーションCDの「HARDCORE UNITED TOKYO」*2に収録されている楽曲です。ハードダンス系とダブステップ、EDMが流行して以降の所謂"ダブコア"的なスタイルのハイブリッドなように感じられます。ドロップのインパクトが絶大です。
音ゲーカルチャーとは関係ない曲
Fuck Me I'm Famous
UKハードコアのレジェンドユニットのDougal & Gammerの楽曲です。
特にこの頃のGammerは、この楽曲をリリースしたEssential PlatinumやMuffin Music*3などの自身のレーベルから頻繁にハードダンス・ハードハウス的な要素の入った楽曲をたくさんリリースしていたので、Onigoが好きな方にはかなりオススメです。特にMuffin MusicのリリースはBandcampで全リリースをお買い得に入手できます。マストバイです。
Twisty!
24/7 HardcoreからリリースされたAl StormとOrbit1のコラボ楽曲です。特徴的なシンセリフや硬いキックでバラエティに富んだ展開が繰り広げられます。
Orbit1は前にも紹介しましたが、氏に限らずオーストラリアのハードコアアーティストは所謂"変態系"な楽曲を多くリリースしていました。
electric-togethe-rworld.hatenablog.com
Walking Time Bomb
2010年ごろまで活動を続けていたTwista Recordsからのリリースです。ここまで紹介してきた曲と比べても突き抜けて変態的な気がしますが、変態系ハードコアを紹介する上では個人的にはRe-Conは外せないので取り上げました。Re-Conは所謂アンセム系のキャッチーな楽曲も多く手がけていますが、同時にこうした変態的な楽曲も多く手がけていました。同系統でも後年の方が聴きやすいかなと感じます。
意外なアーティストのUK HARDCORE
前説
UKハードコアは昔から他ジャンルを吸収することで発展してきたジャンルですが、近年は逆に他ジャンルのアーティストがUKハードコア、またはUKハードコアに近い楽曲を発表することが多くなりました。
最近で言えば、人気ハードスタイルユニットのDa Tweekazがハードコア用の別名義であるTweekacoreとしての活動を開始があります。またそれに応じて大手ハードスタイルレーベルのDirty Workzのサブレーベルとして、Electric Foxが設立され2019年のハードコアシーンに多くのアンセムを輩出しました。
Tweekacore & Darren Styles - Partystarter (Official Video Clip)
また時を遡って、2016年には人気レーベルのBARONG FAMILYなどから楽曲をリリースするKAYZOがDJ SnakeのPropagandaをUKハードコア界のレジェンド的アーティストであるGammerと共にリミックスしたことが大きな話題となりました。
このような他ジャンルの人気アーティストによるハードコア、もしくはそれに近しい曲調の楽曲は、UKハードコアのシーンそのものに大きな影響を及ぼすことが多いので流行を追う上でも見逃せないリリースであることが多いです。また単純に普通のUKハードコアでは見られないようなグルーヴ、サウンド、展開になっていることが多いため、一つの曲として面白いものが多いです。
この記事ではそのようなハードコア以外のアーティストによるUKハードコア系の楽曲を取り上げていきます。
本編
Just Say Yeah
ハードスタイルの雄、Dr Phunkの楽曲です。BPM160ですが疾走感のある泣きメロなドロップにUKハードコアらしさを感じます。浮遊感のある&サイバーチックなボーカルも素敵ですね。
The Lights
世界的人気を誇るEDMアーティストのW&Wとヴァーチャルユーチューバーのパイオニアであるキズナアイのコラボトラックです。ボーカリストをフィーチャーしたトラックではありますが、ボーカルの使われ方はクラブトラック的なのが個人的に驚きでした。W&WはDarren StylesともBPM160の楽曲を発表していましたが、W&W単独でハードコア的な楽曲をリリースしたのは驚きでした。
Supersonic
カナダの人気レーベル、Monstercatを中心に活動するベースミュージック系のユニットであるPegboard Nerdsによる楽曲です。ベースミュージック界隈などでのハードコア、またはそれに近しい曲調のトラックがMonstercatからもリリースされるようになったのですが、この楽曲もそういった流れの中リリースされた楽曲です。
それまでのベース系のアーティストが手がけるハードコア系の楽曲とは違い、BPM170で疾走感があり、メロディアスかつ明るい曲調であることが特徴的です。Monstercatの中でも人気のあるアーティストの一組であるPegboard Nerdsのサウンドで、J-COREっぽさも感じられる王道的なハードコアが奏でられているというのはハードコアが大好きな人間には感涙モノではないでしょうか。
Imma Be A Raver
ヒップホップ系のトラックメイカー、Yultronによる楽曲です。怪しげなブレイクから展開するシンプルかつ強烈なドロップが特徴的です。Yultronは本当に前触れなくハードコア(この曲)をリリースしたのですが、展開やグルーブなどを含めて非常にUKハードコアらしい曲になっているのが驚きです。BAD入ったみたいな世界観のMVにも注目。因みにフリーリリースです。
Right Through (VIP MIX)
大手トランス・EDM系のレーベル、Armada MusicからリリースされたDisco's Overによる同名曲のセルフリミックスです。ハウス系の原曲のエモーショナルな雰囲気を活かした疾走感溢れるリミックスになっています。
Disco's Overはこの楽曲をリリースして以降、UKハードコア系の楽曲を積極的に手がけるようになり、Dougal、Hommarjuさんなどのハードコア系アーティストとのコラボトラックなどもリリースしています。
Can U Feel It
日本レコード大賞にも選ばれた"R.Y.U.S.E.I."の作曲でも知られるMaozonさんの楽曲です。Maozonさんは普段、トランス、ドラムンベースなどのジャンルを手がけられていますが、この楽曲はM1ピアノやドンクベースなどが盛り込まれたレイヴ感のあるハードコアになっています。ドロップのソリッドなベースにMaozonnさんらしさを感じます。
日本のハードコア系のレーベルは割と昔から他ジャンルのアーティストを招くことが多いので、そういったアーティストのハードコア系の楽曲がリリースされることも結構あるように感じます。
UK HARDCOREアーティスト紹介: JAKAZiD編
UK HARDCOREアーティスト紹介、第5回はJ-COREとUK HARDCOREの架け橋的存在、JAKAZiDです。
JAKAZiDはJ-CORE的なキャッチーさやオールドスクールなハードコアの要素を幅広く取り入れた楽曲を手がけるトラックメイカー・DJです。またJoshkaという別名義で活動することもあります。
レーベルとしてAural Adrenalineを運営していますが、以前はハードコア・ハードダンス系のレーベルであるNukleuzにも所属していました。Nukleuzからリリースした"Cillit Bang"*1はナードコア界隈での名曲になっており、BBCのインディーチャートでは3位にまで到達しました。
また氏はハードコア系の楽曲だけでなく、レイヴブレイクス系の楽曲も多く手がけています。
日本との繋がりもとても多いアーティストであり、HARDCORE TANO*C、S2TB Recordings、Lilium Recordsなどのコンピレーションアルバムへの提供も行なっていました。
また商業シーンにおいては歌手のLia氏の楽曲のリミックスや、beatmania IIDX、Dance Dance Revolutionなどの音楽ゲームへの参加などの活動があります。IIDXに収録されている"夕焼け~Fading Day~"は特に人気の楽曲ですね。*2
オススメ楽曲
J-COREチックなリードシンセと随所に仕込まれたオールドスクール感のあるビートやピアノの音色が印象的な一曲です。音ゲーの曲での氏の提供曲でいうとPrices The Skyに近い系統かもしれません。上に貼っている視聴では入ってませんが、ドラムンベースになったりもします。
Make It Werk
レイヴスタブや声ネタがマシマシでハイテンションな一曲です。2回目のブレイクから一気に明るい曲調へとシフトする展開も最高ですね。音ゲーでの氏の提供曲はエモーショナルな曲が多いので意外に思われる方も多いかもしれないですが、こういう路線の楽曲も多く手がけています。
My Beat
ジューク的な複雑なビートが特徴的な一曲です。硬いキックに合わせてサンプリングや歪んだピアノなど様々な音が飛び交って行きます。ほとんど四つ打ちじゃないということもあり「これUKハードコアなの？」と思う人もいるかもしれませんが、UKハードコアは器の大きいジャンルなので、ということで。
各種リンクまとめ
Soundcloud
Bandcamp (Aural Adrenaline)
Spotify
2019年11月のお気に入りUK HARDCORE
2019年の11月にリリースされたUKハードコアで気に入ったものを取り上げます。
11月のリリース
All Night
Electric FoxからリリースされたTechnikoreの楽曲です。BPM160のトラックは2年ほど前から増えていましたが、オシャレなブレイクからのちょっと前のハードコアっぽいエレクトロなドロップが他に無い雰囲気を出しています。
High On You
Religion Recordingsからリリースされたトラックです。ステップを四つ打ちにしたようなノリが面白いですね。Alex Kiddはもともとハードスタイルのクリエイターですが、最近はUKハードコアも積極的にリリースしています。
Bigfoot
Justice HardcoreからNobodyとEzKiLLのコラボトラックです。ドロップのシンセの流れの癖の強さにEzKiLLらしさが出ています。
20,November (Hommarju Remix)
初代beatmaniaの名曲、20,novemberのHommarjuさんによるリミックスです。ハウスだった原曲の雰囲気を活かしたハードコアになっています。またボーカルとして森永真由美さんを迎えています。フリーリリースされる遥か前からクラブでのエクスクルーシブトラックとしてHommarjuさん本人がDJでプレイすることがよくあったのですが、まさかリリースされるとは予測できませんでした。
XTC (Klubfiller Flip)
Klubfillerのフリーリリースのトラックです。かなり正統派にバウンスコアしてて、懐かしい感じですね。良い意味で2019年のリリースとは思えません。原曲は調べた限りでは見つけられませんでした......
