意外なアーティストのUK HARDCORE
前説
UKハードコアは昔から他ジャンルを吸収することで発展してきたジャンルですが、近年は逆に他ジャンルのアーティストがUKハードコア、またはUKハードコアに近い楽曲を発表することが多くなりました。
最近で言えば、人気ハードスタイルユニットのDa Tweekazがハードコア用の別名義であるTweekacoreとしての活動を開始があります。またそれに応じて大手ハードスタイルレーベルのDirty Workzのサブレーベルとして、Electric Foxが設立され2019年のハードコアシーンに多くのアンセムを輩出しました。
Tweekacore & Darren Styles - Partystarter (Official Video Clip)
また時を遡って、2016年には人気レーベルのBARONG FAMILYなどから楽曲をリリースするKAYZOがDJ SnakeのPropagandaをUKハードコア界のレジェンド的アーティストであるGammerと共にリミックスしたことが大きな話題となりました。
このような他ジャンルの人気アーティストによるハードコア、もしくはそれに近しい曲調の楽曲は、UKハードコアのシーンそのものに大きな影響を及ぼすことが多いので流行を追う上でも見逃せないリリースであることが多いです。また単純に普通のUKハードコアでは見られないようなグルーヴ、サウンド、展開になっていることが多いため、一つの曲として面白いものが多いです。
この記事ではそのようなハードコア以外のアーティストによるUKハードコア系の楽曲を取り上げていきます。
本編
Just Say Yeah
ハードスタイルの雄、Dr Phunkの楽曲です。BPM160ですが疾走感のある泣きメロなドロップにUKハードコアらしさを感じます。浮遊感のある&サイバーチックなボーカルも素敵ですね。
The Lights
世界的人気を誇るEDMアーティストのW&Wとヴァーチャルユーチューバーのパイオニアであるキズナアイのコラボトラックです。ボーカリストをフィーチャーしたトラックではありますが、ボーカルの使われ方はクラブトラック的なのが個人的に驚きでした。W&WはDarren StylesともBPM160の楽曲を発表していましたが、W&W単独でハードコア的な楽曲をリリースしたのは驚きでした。
Supersonic
カナダの人気レーベル、Monstercatを中心に活動するベースミュージック系のユニットであるPegboard Nerdsによる楽曲です。ベースミュージック界隈などでのハードコア、またはそれに近しい曲調のトラックがMonstercatからもリリースされるようになったのですが、この楽曲もそういった流れの中リリースされた楽曲です。
それまでのベース系のアーティストが手がけるハードコア系の楽曲とは違い、BPM170で疾走感があり、メロディアスかつ明るい曲調であることが特徴的です。Monstercatの中でも人気のあるアーティストの一組であるPegboard Nerdsのサウンドで、J-COREっぽさも感じられる王道的なハードコアが奏でられているというのはハードコアが大好きな人間には感涙モノではないでしょうか。
Imma Be A Raver
ヒップホップ系のトラックメイカー、Yultronによる楽曲です。怪しげなブレイクから展開するシンプルかつ強烈なドロップが特徴的です。Yultronは本当に前触れなくハードコア(この曲)をリリースしたのですが、展開やグルーブなどを含めて非常にUKハードコアらしい曲になっているのが驚きです。BAD入ったみたいな世界観のMVにも注目。因みにフリーリリースです。
Right Through (VIP MIX)
大手トランス・EDM系のレーベル、Armada MusicからリリースされたDisco's Overによる同名曲のセルフリミックスです。ハウス系の原曲のエモーショナルな雰囲気を活かした疾走感溢れるリミックスになっています。
Disco's Overはこの楽曲をリリースして以降、UKハードコア系の楽曲を積極的に手がけるようになり、Dougal、Hommarjuさんなどのハードコア系アーティストとのコラボトラックなどもリリースしています。
Can U Feel It
日本レコード大賞にも選ばれた"R.Y.U.S.E.I."の作曲でも知られるMaozonさんの楽曲です。Maozonさんは普段、トランス、ドラムンベースなどのジャンルを手がけられていますが、この楽曲はM1ピアノやドンクベースなどが盛り込まれたレイヴ感のあるハードコアになっています。ドロップのソリッドなベースにMaozonnさんらしさを感じます。
日本のハードコア系のレーベルは割と昔から他ジャンルのアーティストを招くことが多いので、そういったアーティストのハードコア系の楽曲がリリースされることも結構あるように感じます。
